【結論】要件定義の目的は「プロジェクトの失敗を減らすこと」




要件定義の目的

今回は「なぜ要件定義が必要なのか?」という素朴な疑問に対して回答したい。

要件定義の目的

結論から言うと、要件定義をする理由は『プロジェクトの失敗を減らすため』である。

要件定義を実施しないと、開発のスコープが曖昧になり、追加作業が発生しやすい。

自社開発ならまだしも、システム開発を請け負う場合には、追加作業は納期遅れやコストオーバーに直結してしまう問題だ。

要件定義を実施することで、開発スコープを明確にでき、プロジェクトの失敗を減らすことができるのだ。

プロジェクトが失敗する確率

プロジェクトの失敗と要件定義の関係性について、データを紹介しておこう。

日経コンピュータの調査で、システム開発プロジェクトの「半分は失敗」という結果が出た。

プロジェクトの失敗率
 2003年:73.3%
 2008年:68.9%
 2018年:47.2%
出典:日経ビジネス『プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず』を参考に算出

2003年から考えると、2018年では失敗する確率は減少したようだが、それでも半数は失敗しているというのだ。

「納期遅延」、「コストオーバー」、「作ったものの利用されない」といったプロジェクトの失敗は後を絶たない。

プロジェクトの失敗原因

次に、プロジェクト失敗の原因だ。

日経コンピュータは、プロジェクトの失敗原因を「納期・コスト・満足度」の観点で調査した。

 

プロジェクト失敗の原因(コスト)

出典:日経コンピュータ、2018年3月1日号 p.30

プロジェクト失敗の原因(納期)

出典:日経コンピュータ、2018年3月1日号 p.32

プロジェクト失敗の原因(満足度)

出典:日経コンピュータ、2018年3月1日号 p.34

 

「仕様変更の発生」や「追加の開発作業の発生」など、原因の上位には要件定義の不備が並ぶ。

満足度の観点でも、原因のトップは「要件定義が不十分」となっている。

このように、失敗するプロジェクトの多くは、要件定義に問題があったと考えられるのだ。

要件定義が重要とされる理由

では、なぜ要件定義の不備が、プロジェクト失敗につながりやすいのか?

それは、要件定義の不備がプロジェクトの終盤で発覚することが多いからだ。

 

要件定義段階で見つかれば資料を修正するだけで済む話が、プロジェクトの終盤で発覚すると、設計書やロジックを修正のうえ、テストもやり直しになってしまう。

ゆえに納期遅延やコストオーバーにつながってしまうのだ。

これはベンダ企業だけに問題があるのでなく、ユーザ企業もシステム開発の目的や利用場面を明確にできていない場合が多いため、システムが形になってくる終盤の工程で問題が発覚するのである。

要件定義ですべきこと

要件定義の不備がプロジェクトの失敗につながることは分かった。

では、要件定義の不備を無くすには何をすればいいのか?

要件定義の不備を無くすのは非常に難しい課題だが、経済産業省が管理する情報処理推進機構(以下、IPA)で整備されている「共通フレーム」では、要件定義の作業について、下記のように述べている。

要件定義プロセスは、定義された環境において、利用者及び他の利害関係者が必要とするサービスを提供できるシステムに対する要件を定義することを目的とする。

出典:IPA『共通フレーム2013』

この文章を分解して考えてみると、

・定義された環境
 どこに提供するのか?(where)

・利用者及び他の利害関係者が必要とするサービス
 誰が必要とするのか?(who)
 なぜ必要とするのか?(why)
 何を必要とするのか?(what)
 いつ必要とするのか?(when)

・サービスを提供できるシステムに対する要件
 どうやってサービスを提供するのか?(how)

このように、要件定義ではシステム開発の5W1Hを明確にすべきだと書いていると理解できる。

 

実際に、IPAでは、超上流工程にて費用(how-much)を含めた5W2Hを明確にすることを推奨している。

5W2H
システム開発における5W2H
出典:IPA『高品質のための超上流工程における企業の課題・取組み事例集』,p.11

さいごに

要件定義の目的について説明してきたが、最後のポイントをまとめる。

 

要件定義の目的

要件定義を行う理由は「プロジェクトの失敗を減らすため」

(補足)
・プロジェクトの半数は失敗をしており、その原因の上位は要件定義の不備である。

・要件定義の不備は、プロジェクト終盤で発覚することが多く、納期遅延やコストオーバーに繋がる可能性が高い。

・要件定義では、5W2Hを明確にすべし。

以上、参考になれば幸いだ。

 

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参考文献

日経ビジネス『プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず』

日経コンピュータ『2018年3月1日号』

IPA『経営者が参画する要求品質の確保』

IPA『共通フレーム2013』

IPA『高品質のための超上流工程における企業の課題・取組み事例集』






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